研修会参加記

18回近畿血清検査研修会参加記

奈良県立三室病院 山口正悟

ある日、広報担当のK氏から、山口君、「誰か近畿の血清研修会の参加記を“まほろば”に書いてくれる人はいないかな?」と言われ、そのときは「何時でも探せるか・・・」と悠長に構えていたら、その返答の日がいつの間にかすぎてしまっていて、「もう僕が書きます」と苦し紛れに返答したのがきっかけで、参加記ならぬ主催記を書くことになってしまいました。参加記ではないけれど研修会の企画から開催までの悪戦苦闘記?ということでお許しいただきたく思います。
 近畿の血清研修会は担当県が毎年各府県の持ち回りであり、本年は奈良県の担当でした。企画は近畿の研究班長が集まり大筋を決めます。この会議はもう昨年の研修会の終了と同時に始まり一年がかりで開催にいたります。まずはテーマの決定でした。これは参加者数を左右する重要なもので、いろいろな案が出ましたが前年の研修会アンケートから肝臓・甲状腺の要望が多く、この二つは外せないということで、それならパピローマウイルスの検診導入とあいまって子宮がん検診=子宮ということで臓器でくぎって『臓器と語る』はどう?となりました。そのときのトピックスを組み込むのもお決まりでメタボリックシンドロームとアスベストに決定しました。ナイトセミナーは、せっかく遠方から来てもらうのだから検査とは無関係でも開催地ならではの話題にしようと、「万葉の心 大津の皇子」に決定しました。ちょっとマニアックだったかも・・・さて本題に戻って次は各講座のタイトルです。「肝臓と語る」うんうん、「甲状腺と語る」うんうん、「子宮と語る」??では「生殖器と語る」(−_−メ)

 タイトルは保留にして開催日時の決定です。毎年2月後半から3月前半が恒例でしたので2526日の土日に決定、これもアンケートで一日、半日を抑えて二日間の開催。すんなり決定しました。しかし一日、半日という意見も多かったのは事実でした。
 場所の選定は、交通の便がいい事、安い事、宴会が出来ること。そして個室より大部屋のこと、これには賛否両論がありましたが交流は大切で一人で悩んでいる人達が問題を解決できる場が必要ではないか・・という意見で合致しました。事実、各府県の血清研究班の仲間の団結は強固なのです。しかし後になって「そんなとこ何所にあるねん?前回の兵庫の研修会は素敵な駅近のホテルだったのに、どうすんの?」と思いながらもネットで調べてそれなりの奈良市の某宿泊施設に出向いて聞いてみました。「なんとか人数さえ集まれば採算とれるかも」と判断したものの予約金に20万円近く必要でした。先に予算がおりない研修会で、今自腹をきるには辛いと思い後日に返事をと一時退散したのが運のつき、再度連絡したときにはブライダルフェアが入っていました。仕方なく奈良市の他施設を調べ直しましたが、人数や先に書いた会場の条件に合う所は見つかりません。県下の施設で希望の予算で出来るところは全て交通の便がもうひとつでしたが、送迎バスと開催地・奈良ではの「大和は国のまほろば」を彷彿させる飛鳥の地に立地する国民年金保養センター「大和路」に決定しました。ここなら食事を少し豪華にしても予算的に大丈夫かな・・・とおもいつつ。
 次は各講座の講師選出です。なるべく技師でという近臨技の意見もありましたが臓器の検査と病態をテーマとしているだけに医師の方にお願いするのが多くなってしまいました。奈良県主催ということで県内の先生方にお願いをし、講師料も本来、医師と技師では相当違いがありましたが、医師、技師の各先生方のご好意によりこちらの方も快諾頂きなんとかクリアできました。
 開催3ヶ月ほど前からは、講師の先生方への抄録要請、メーカーの協賛要請、各府県への参加者募集の案内、研修会を手伝って頂く奈良の分野員と技師の方々との打合せ。保留のタイトルは「子宮と語る」で何が悪いと開き直って決定しました。でもあんまり語りたくない様な・・・
 それから瞬く間に研修会一ヶ月前になりました。研修会テキストも和歌山の印刷業者さんを紹介していただき格安で立派なものが出来上がりました。しかし参加者はというと各府県の班長の努力虚しく案の定募集の半分にも満たない30人弱でした。研修会会場の選択と予算の少なさもさることながら免疫検査として独立している検査室が少なく、コストの抑制で採算の取りにくい項目の多い免疫検査離れを露呈した結果でした。しかしさらなる各府県への呼びかけと各賛助会員の方々の応援もあり50人を超え、予算的にトントンかぎりぎりの採算でなんとか見通しがつき、とうとうその日を迎えるのでした。
 当日、私の願いは「早く何事もなく終わってくれ〜」の一つでした。講師の方々も時間通りに到着され、司会者の方との打合せも予定通りで一安心。各講座は内容の濃いものでしたが、聞いている余裕もなく実務委員に全てをまかせて殆ど何も手がつかないまま一日が過ぎたのでした。その後の宴会場での楽しい会食、ビンゴゲーム等その場を盛り上げてもらった実務委員の方々の頑張りには頭がさがりました。私はというと何もしていないのに要らぬ気ばかり使ったからか呑めないこともあって、その夜は皆をほったらかして先に寝てしまうのでした。
 二日目は9時からです。昨夜宴会で朝方まで飲んでいた参加者もきっちり起きてしっかり講義をきいておられました。研修会に対する真剣さが伝わってきます。しかし最後の第五講座になると皆の疲れが見え出しました。私はというと、だんだん肩の荷が軽くなり皮肉なことに何故か元気が出てくるのでした。閉会の挨拶が終わり「この二日間お疲れ様でした」の声で全てが終了、気になる決算もぎりぎりOK!後片付けもてきぱきと終了、一年間の準備に比して何と速いことか・・・昼過ぎにはもう全てから開放されていました。
 今回の研修会に限らず参加者が少なくなっています。決して免疫検査が衰退しているわけでもなく逆に重要な検査が沢山あると思います。そして近畿には情熱をもった仲間も沢山います。免疫検査の担当の如何に関わらず、どうかまだ参加されていない方、一日参加でも結構です是非仲間の輪に入ってみて下さい。そしてもちろん奈良の輪にも!
 今、半年が過ぎ研修会を思い返したとき、何も出来なかった自分をお詫びするとともにこの場を借りて感謝の意を表します。近畿各府県の血清研究班長の方々には企画立案、講師の選出、印刷業者の斡旋、参加者の呼びかけ等の協力、そして暖かい励ましの言葉に感謝の念が絶えません。そして一人では何も出来ない私に代わって講師の斡旋やアドバイス、準備、当日実務を率先して実行していただいた奈良県の実務委員の方々、本当に有難うございました。また何より快く講座を受け持って頂いた諸先生方にこの場をお借りして深謝致します。